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華鬼関連の二次創作小話を掲載しております。
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鬼ヶ里居残り、三翼二人の会話。結論は響も華鬼も、嫁バカだよねって話その2。
誰得だって話を書きまくるのが趣味です。(`・ω・´)キリッ

相互作用


「ほんっと……見れば見るほど不思議な組み合わせだよねー」
「……ええ、本当に」
ガラス窓をはさんだ光景を見つめて、なんとも複雑な顔をしながらぼやく水羽に対面に座っていた麗二が頷いた。
視線の先では、4人の男女が一つのベンチに並んで座っている。
真ん中に座って楽しげにお喋りをしている少女……というより、もう女性という風貌だ……の
二人は見ていて微笑ましいのだが、問題は両端に座っている男達だ。
人間離れした美貌を持つ両者の間に漂う空気は、見る者に怖気を及ぼすほど最悪だったからである。
……この光景をなんと表現すればいいのだろうか。
なまじ事情を知っている者として当てはまる言葉を見つけられず、水羽はため息をついた。
「……そんなに気になるなら、特攻すればいいじゃないですか」
得意でしょう?とでもいいたげな麗二をじとりと睨む。
「行けるもんなら、とっくに行ってるよ……でもあの空気割と特殊でさ……
 ……って、あ、誰か来た」
側のテーブルに頬杖をつきつつ、眉根を寄せて愚痴る水羽の視線の先に、
4人が座るベンチに近づく人影が見える。
通り過ぎるかと思われた人影は立ち止まると、一目散に元来た方向に駆け出していった。
「……どうやら、今回は鬼の関係者だったみたいだね。」
「もしかしたら、渦中にいた者かもしれませんねぇ。動きが尋常でないほど乱れてましたよ」
笑いを含んだ水羽の物言いに、麗二も面白そうに同意し、少し昔に思いを馳せる。

鬼ヶ里高校を半壊させた事件からおよそ数年。
鬼ヶ里高校全ての鬼を巻き込み発生した、今では『伝説』となった事件は、学校関係者のみならず鬼ヶ里中に知れ渡り、鬼頭の強さと、そして花嫁が鬼に与える影響を改めて世に知らしめた事件となった。
数年経った今でも話題に上る事件の詳細は、しばらく消えることはないだろう。
だからこそ、と4人を改めて見つめれば知らず苦笑が漏れた。

「ほんと、不思議ですよねぇ」
今日何度目かしれない言葉を再度呟くと、水羽が目の前にあるお茶請けからせんべいを取り、不服そうにかじりついた。
「不思議っていうか、ほんと普通じゃないよね。だって事件を起こした張本人同士が花嫁挟んで座ってるんだもん。事情知ってる奴は訳がわかんないだろうね」
「確かに」
言いつつカップに注がれた紅茶を一口飲むと、優しい香りが口内に広がった。
もえぎが淹れてくれたお茶は大概美味しいが、今回は特に美味しい。
茶葉が違うのだろうかと明後日のことを考えていると、
不機嫌な顔をした水羽の視線とぶつかった。
「……聞いてた?僕の話」
「すみません、茶葉のことを考えていたもので、全く」
女性が見たらイチコロであろう麗二の爽やかな笑顔に、水羽は盛大にため息をついた。
「だから驚いた、って話だよ。堀川、まさか土佐塚を花嫁にしてたなんて」
「ええ、その点は流石の私も驚きました。あの頃は、土佐塚さんにあの鬼の刻印なんてありませんでしたから……一体何があったんでしょうね」
「仲間になって情が移ったとか?」
ぽつり、と呟かれた言葉に麗二が目を見開くと、面白くなさそうに水羽がお茶を啜るのが見えた。
「……昔は土佐塚、堀川と手を組んでたんだろ?」
「まあ十中八九そうでしょうね。彼女があの事件の際、神無さんの側にいたのも、その後鬼ヶ里を出たのもそう考えれば辻褄があいます」
「神無の親友だったら、普通知るはずない情報も得られる。
 きっと、鬼がいないって土佐塚をそそのかしたんだろうね…… 
 堀川の周到さには呆れ通り越して感心するくらいだよ。
 あーでもほんとムッカつく!思い出したらイラついてきた」
だんだん怒りを募らせていく水羽に、物は壊さないでくださいよと麗二は念を押した。
「……でも仲間になったからといって、大事にするタイプでもありませんよねぇ。彼は」
見ていれば分かる。彼は多分、親しいものも全て手駒くらいにしか思っていない、
華鬼とはまた違った意味で、冷酷な鬼の血を強く引き継ぐ男なのだ。
だからこそあれだけの騒ぎを計画し、実行できたのだろうから。
「そ。だから、もしかしたらこれも罠なのかもって思ってたんだけど……
 神無から話聞いたり、実際見てみると、どうやら本当に大事にしてるっぽいんだよね」
すると破壊衝動をなんとか抑えられたらしい水羽が、渋い顔で再度せんべいに手をのばすのが見えた。
「麗二知ってる?今堀川たちが住んでるすぐ側に、鬼の産婦人科医が経営する病院があるんだってさ」
「それは初耳です。……確かに鬼の産婦人科医は鬼ヶ里にこそいますが、外では皆無に近いでしょう。
 思い当たる節もありますけど…偶然に、そこにいることはまずありえないですね」
驚きつつ考えをめぐらせると、一層不貞腐れた顔をした水羽が後ろのソファに倒れこんだ。
「……認めたくは無いけど、堀川なら探せば見つけられるって思える。
 それくらいまで尽くすタイプにはほんと見えないんだけどさ。
 だけど、華鬼と土佐塚が堀川の両極にいる存在だって考えると…
 …納得できるから、ますます気に食わないんだよね」
「強い鬼ほど情が深く……厄介な性格なんですかねぇ」
いいながら、華鬼と、響の両方を見比べる。二人とも両者に対してはありありと敵意を向けているのだが、その真ん中にいる自らの花嫁に言葉をかけられれば粛々と答えているような有様で、思わず苦笑が漏れた。
「でもさ、そう考えると、あの事件があったからこそ、堀川と土佐塚は一緒にいるわけなんだよね」
「まあ確かに……華鬼と神無さんがいたから、堀川響と土佐塚さんは手を組んだわけですし」
「……そう考えると、今の状況をどう考えればいいのか分からなくなってきてさ」
うーんと唸る水羽に苦笑しつつ、目の前の紅茶をひとまぜして麗二が言葉を続ける。
「でも、そう考えると、神無さんと華鬼のことも、分からなくなってきますよ」
「何で?」
「華鬼も随分とあの頃は鈍かったですからね。もし堀川響の猛攻がなかったとしたら……
 あそこまで早く二人が分かり合うことも、なかったように思いますねぇ」
「……それはない……っていいたいとこだけど、確かに一理あるのも頷けるんだよねぇ……
 ああ……考えれば考えるほど訳が分からなくなってきた!もう考えるのやめやめ!」
頭を抱えた水羽は、勢いよくソファから立ち上がり、伸びをした。
そんな水羽の様子にくすりと微笑して、思い思いの振る舞いをする4人を麗二は見つめた。 
「結果論かもしれませんが……結局あの二組はお互いがいて成り立ったのかもしれませんね」
全てが相働いて益となるとは誰の言葉だったか。
思いっきり怪訝そうな顔をした水羽に笑顔を向けて、美麗の保険医は呟いた。

Fin

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